倭の五王に関する一考察（その1）

倭の五王は5世紀の中国の歴史書に登場する５人の倭王のことです。

この倭王については日本書紀の記録から整合性が取れないことから様々な説が唱えられてきました。

しかしながら、思いつきでの当てはめを行ったところ、原記録の意図したものはこれなのではないか、というものが出てきたことから順に追っていきたいと思います。

中国の宋書（ただし最初の年のものは晋書）に記録があり下記のとおりです。

西暦

413年、421年、425年、430年、438年、443年、451年、460年、462年、477年、478年

の11か年です（『南斉書』東南夷伝と諸番職貢図巻の記述より479年もあったとの説がある）。

これを王の名前が記載されているものについて分けると次のようになります。

倭王讃 421年、 425年

倭王珍 438年

倭王済 443年、　451年

倭王興 462年

倭王武 478年　（479年？）

この倭王については次の天皇が当てはまるとされています。

（◯がついている天皇が最有力とされているもの）

倭王讃　応神天皇　◯仁徳天皇　履中天皇

倭王珍　仁徳天皇 ◯反正天皇

倭王済　◯允恭天皇

倭王興　◯安康天皇

倭王武　◯雄略天皇

上記の天皇から年代が事実とされている継体天皇まで（15代応神天皇から26代継体天皇まで）を日本書紀の記述通りに西暦に当てはめ倭の五王を当てはめると次のようになります

上記のように一部の天皇に複数の倭王が当てはまってしまいます。

もっとも日本書紀の年代についてはもともと議論が大きいため次回からはそれを踏まえていきます

＊2025/3/27　応神天皇と仁徳天皇の在位年は41年と87年みたいですね。単純に引き算していたので間違えました。

参考文献　

新訂魏志倭人伝・後漢書倭伝・宋書倭国伝・隋書倭国伝: 中国正史日本伝 1 (岩波文庫青 401-1)

世界古典文学全集　24B（三国志II)　筑摩書房

日本書紀上　講談社学術文庫

歴代天皇在位年及び好太王碑文　Wikipedia